漆の木と漆の採取

漆、学名Toxicodendron vernicifluum は、漆科漆属の落葉高木。アジアが原産。日本・朝鮮・中国等で漆を採取するため古くから広く栽培されていた。20メートルまで高くなる木。

 

樹脂液は3000年前から漆として使われている。漆は木材を木食い虫や湿気から守ってくれる。

 

若い新芽の部分は食べることができ、味噌汁や天ぷらにすると美味しく食べられる。これは元々、漆塗りの修行をしている人が、漆に対する免疫をつくるために食べたのが始まりだという。ただし、「食べた後に舌が少しピリピリし出した」という報告もあるため、食べない方が無難である。

本種をはじめ、近縁種はアレルギー性接触性皮膚炎(いわゆる「ウルシかぶれ」)を起こしやすい。これは、ウルシオールという物質によるものである。人によっては、ウルシに触れなくとも、近くを通っただけでかぶれを起こすといわれている。

 

完全に乾燥した漆はかぶれを起こさない。熱や湿気、酸、アルカリにも強い。腐敗防止、防虫の効果もあるため、食器や家具に適している。 一方、紫外線を受けると劣化する。また、極度の乾燥状態に長期間曝すと、ひび割れたり、剥れたり、崩れたりする。

漆の木は人が栽培し、10年から20年で掻き取る。夏から秋にかけて木に傷をつけて掻き取り、その後木を切り倒す。切り株の根から新しい芽出て、成木に育てる。